
「今までの人生で出会った人の中で
苫米地さんって一番胡散臭いんだよね(笑)」(中村うさぎ)
中村 はじめて苫米地さんに会ったのは、私の本(※対談集『変?』角川文庫)で対談をお願いしたときだったよね。
苫米地 そうだね。
中村 当時、私、ホストにずっぽりハマっててさ。しかも、そのホストっていうのが、すごいバカだったんだよね。三島由紀夫も知らないくらいのバカ。けど、そんなバカなオトコに私はいいように転がされてて。たしかにそのホストが二枚目で口が上手かったとか、惚れてしまった私が悪いとか、いくらでも理由は思いつくんだけど、それにしたって借金までしてホストに貢いでいるのが、我ながら不思議だったわけ。貢いだ額は、100万円、200万円どころじゃないからね。いったいこのメカニズムは何なんだって。
苫米地 それで俺に相談にきたんだよね。
中村 そう。きっと私はそのホストに洗脳されているに違いないって思ったの。もちろんそのオトコは洗脳のテクニックを持っているような大した人物じゃないんだけど、無意識に女を洗脳する変な能力があるんじゃないかと考えて、苫米地さんと対談してみようってことになったんだよ。苫米地さんのことは、オウムの洗脳はずしの件で知ってたから。
苫米地 そのとき、どんな話したっけ?
中村 アンカーとトリガーの話。そのホストの言うことを何でも聞いてしまうというアンカーが私の中に埋め込まれているんじゃないかって。で、そのホストに会ってないときは「何であんなオトコに......」って心の底から思っているのに、ホストクラブに行って顔を見てしまうとオトコの思うようにされちゃうから、ホストの顔がトリガーになっているんじゃないかって言われたんだよ。
苫米地 そうそう。それで「そのホストに会わなければ、いいんだよ」って話したんだよね。
中村 私さ、そのアンカーとトリガーの話がすごく新鮮でさ。苫米地さんに会う前にも、依存症についての本やオトコに貢ぐ女の本とかを読んだり、いろんな人に話を聞いたりして、私なりに自分のことを考えてきたんだけど、苫米地さんの話が一番腑に落ちたっていうか。素直に「この人はすごい!」って思ったよ。当時、世の中的には「インチキくさい」みたいな言われ方もしていたじゃない?
苫米地 まあね。
中村 たしかに私も、インチキくさい人だなって思ったんだよ(笑)。風体からして怪しいし、言ってることもいちいち人を喰ったような言い方をするし。「この人、どこまで本気で言っているのかな」って、煙にまかれたような、狐につままれたような気分になったんだよね。
苫米地 そう?